中国鍾乳石の解釈、モデルから

引き続き、鍾乳石のd18Oの解釈を再考する論文。
2014年発行でHai Chengも共著者だ。Yongjin Wang も入っているところからも、中国鍾乳石グループの解釈としては、その場の降水ではなくこの結論のmonsoon windあるいは北部の降水、(降水のd18O)ということだろう。

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Chinese cave records and the East Asia Summer Monsoon
Zhengyu Liu et al. Quaternary Science Reviews 83 (2014) 115-128

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最終氷期から完新世にかけての鍾乳石の解釈を目的としてisotope-enabled atmospheric component model of the CCSM3 CAM3を使って実験。

LGMから現在までのシミュレーション結果がでている。H1, BA, YDの傾向はモデルで得られたd18Oの値と実際とが同じだが、振幅が違うことを解決できていない。また、変動のタイミングもずいぶん違う。

ここでも降水の、北部と南部の違いについて議論されていて、H1は北部が乾燥、南部はあまり変化なし、という解釈がなされている。

また後ほどとりあげるが、同じ東アジアモンスーン地域でも中国の鍾乳石がやたらと振幅が大きい。日本の鍾乳石はそうではない。海岸からどれだけ近いかということが重要だということのようだ。日本と中国ではそもそも水蒸気源が違う。