2010-01-01から1年間の記事一覧

「胸の中にて鳴る音あり」

書評です〜。【書評】 読書の楽しみの一つは自分とは違う他人の世界を覗けることだ。たまたま電車の向かい側に座っているような普通の人の日常を描く「胸の中にて鳴る音あり」(上原隆著)は、読後になんだか寂しい印象を残す。短いルポルタージュコラムに描…

あかつきのこと

金星探査機あかつきのミッションが失敗に終わったことは大変残念です。はやぶさは工学ミッションだったのに対し、あかつきは理学ミッション、つまり純粋に科学的な問題を明らかにしようとするミッションでした。 今週のnatureにも記事がでています。http://w…

サイエンスアゴラが終って

サイエンスアゴラお疲れさまでした。 大学院生の科学コミュニケーショングループ0to1の発表には、30ー40名ほどが足を運んでくださいました。本当にありがとうございます。また、地震研の纐纈先生、大木先生、また宇宙研の中村正人先生にもインタビューでご協…

サイエンスアゴラに出展します!

私が所属している東大の科学コミュニケーショングループ『0to1』が科学の祭典サイエンスアゴラに出展します!今回は、地震や素粒子、分子生物などといった分野の違いによって科学コミュニケーション活動にどのような違いが見られるのかを調査しました。分野…

学会続き

学会やミーティングが続き、帰国しやっと落ち着いてきました。8月後半から9月上旬までアメリカのサンディエゴに、「International conference on paleoceanography」の10会大会、その後帰国し2日後には韓国でAPLのミーティング、その後直接上海に飛んで…

日本科学未来館、コミュニケーター研修講座

23、24日で、日本科学未来館のコミュニケーター研修プログラム、プレゼンテーション講座に参加してきました。理科の先生の教員免許の単位にもなっているようで、小中高校の先生が半数ほどいらっしゃいました。他には、大学院生や、企業の広報の方など、…

第四紀学会シンポジウム

日本の地学教育に何が足りないのか? 第四紀学会は、なす役割とは?そんなことを考えさせられるシンポジウムでした。ポスターの件数は、150件もあり、クーラーもきかず、熱気がむんむん立ちこめて暑い暑い。 汗だくでポスターを見ました。教育関連、ジオ…

第四紀学会2010大会

今日で3日目の第四紀学会。 研究発表は昨日まで、今日は自然教育に関するシンポジウムです。後継者不足は、地学分野に共通の懸念だと思いますが、今回の学会でも若 者が少ないという問題が浮き彫りになったと思います。また、教育課程での地学教育を問題視さ…

「背信の科学者たち」

久し振りにブログを書きます。 最近読んだ本で、研究者の方にぜひオススメなものをご紹介したいと思います。タイトル:「背信の科学者」 著者:ウィリアム.ブロード、ニコラス.ウェイド概要: 論文の捏造やデータの改ざんなど、科学者の不正行為が後を立たな…

石を見分ける!!

先週金曜から出張続きで、ばたばたしていました。まずは、愛知県の犬山市に、地質の巡検。 木曽川沿いのチャートの地層を見ました。 チャートとは、ケイ酸塩でできた石です。 ハンマーでたたいても固くてなかなか割れません。チャートは、緑や赤、紫、グレー…

ヨロンとセロン

今日は、東大で開催された科学コミュニケーション研究会に参加してきた。http://sc.sp.s.u-tokyo.ac.jp/scicomsociety/マス・コミュニケーション論の京大の佐藤卓巳先生の"ヨロン"と"セロン"の話が印象深かった。”世論”は「ヨロン」「セロン」の2つの読み方…

むつ科学技術館

実験を行いに海洋研究開発機構(JAMSTEC)のむつ研究所に行っていました。 津軽海峡を見下ろす下北半島にむつ研はあります。なんとも寂しいところですが、一方で自然を目一杯楽しめるところでもあります。むつには年に4〜5回行くのですが、いつも研究所とホ…

氷期の終わりの北太平洋での深層水形成

海洋研究開発機構、地球環境変動領域の岡崎 裕典 研究員らによって、最終氷期が終り温暖化していく最終融氷期の1万7千年〜1万5千年の間に、北太平洋で深層水が形成されていたことを明らかにしました。現在の深層水形成がおこっている場所は、北大西洋高…

芸術は爆発だ!!

今日は、岡本太郎美術館に行ってきました。芸術と科学の融合という議題で、いろいろなジャンルの方々と話してきました。 研究者、芸術家、デザイナー、それぞれの立場から、芸術と科学は融合するのか、どのように融合するのか、しないのか、など、立場が違え…

研究者の不正

金曜日の「科学コミュニケーション」の授業で、「研究者の倫理」について学んだ。「倫理」は、例えば生命倫理に代表されるように国によっても、宗教によっても、時代によっても変わるものである。しかし、研究者の倫理は世界共通であるという。研究者が絶対…

エルニーニョ南方振動

最近は現在の気象の勉強をしています。先日は、ジャムステック研究員の先輩と、アジアモンスーン、エルニーニョ南保振動(ENSO)、偏西風の関係やこれらをつなぐメカニズムは何なのか、ということについての勉強会をしました。読んだ論文はこれです。「エルニ…

太陽系宇宙旅行も夢じゃない?

はやぶさプロジェクトの第一人者である川口淳一郎先生(宇宙研究開発機構)のお話を聴きました。はやぶさは7年前に地球を飛び立った惑星探査機。行き先は、イトカワという太陽系の小惑星でした。 今年の6月に地球に帰還した「はやぶさ」。はやぶさは、他の…

海水準の変動は何で引き起こされるか?

今日の論文は、海水準(sea-level)の変化が何によって引き起こされるかをレビュー(まとめ)た論文です。近年の海水準の変動が何によって引き起こされるかをきちんと検証するのはとても難しく、地域差も大きくでます。海水準変動を引き起こす原因は、陸地にあ…

科学者の評価

6月17日のNature(イギリスの科学雑誌)に科学者の評価基準についての記事が載っていた。 ーーーー概要ーーーー 科学者の評価基準が今議論を呼んでいる。 Natureが聴き取り調査を行ったところ、科学者の大部分が現在の評価システムに不満を持っているとい…

氷期と間氷期の洞窟の中の気温の違い

今日の論文は、洞窟の気温が2万年前は現在と比べてどのくらい変わっていたのかを論じたものです。洞窟には、石筍や鍾乳石のような石灰質でできた生成物があります。 その中の酸素原子と炭素原子の同位体比を使う事で、過去の洞窟の気温が分かるという論文で…

強い者は生き残れない

「強い者は生き残れない」を読みました。ダーウィンに始まった進化論は、時代とともにその解釈が新しく付け加えられていく。 この本で紹介されている進化論は、強いものが過酷な環境を乗り越えるのではなく、環境変化に対応できたものが生き残れるという新し…

実験装置

実験装置に色を測るという機械があります。 CM2002というコニカミノルタの「色測計」です。 いろんなものの色を測ることができます。とても簡単な装置なのに、セットアップがなかなかできません。 一回、船の上で使ったことがあるのですが、さっぱり忘れてい…

今日の論文[Body temperature of modern and extinct vertebrates from 13C-18O bond abundance in bioapatite]

生物の「歯」から、その生物の体温がわかる!という話。歯のアパタイトの同位体比13C-18Oの結合の度合いが、体温だけに依存するそうで、絶滅した生物の骨などを測定することで、絶滅した生物の体温がわかります。 タイトル:Body temperature of modern and …

今日の論文[Water isotope modeling in the asian monsoon region]

今から2万年前の最終氷期極相期にアジア地域に降った降水の酸素同位体比がどうなっていたか、という話です。 タイトル:Water Isotope Modeling In the Asian Monsoon Region 著者:Hoffmann and Heimann (1997) Quaternary InternationalGeneral circulati…

今日の論文[Ventilation of the Deep Southern Ocean and Deglacial CO2 Rise]

以下は備忘録ですので、分かりにくいものもあるかもしれません。。。 今日からは論文を一個ずつ読む予定なので、毎日読んだ論文を紹介していきます。今日読んだものは、今から1万8千年前頃におこった大気中のCO2増大の謎に関する論文です。 CO2がなぜ多く…

読売新聞科学面記者の方の話

今日は、「科学コミュニケーション論」の授業で、読売新聞の科学面担当の記者の方のお話を聴きました。本来ジャーナリストとは、世の中のおかしいことをおかしいと批判することが仕事だそうですが、「科学ジャーナリスト」の場合には、これに加えて、科学の…

ちょっとした決意

研究をするということは論文を読まなければなりません。今日から、1日一本!寝る前までに論文を必ず読むことに決めました。1年間365日続けたら、356本も論文が読める!!それだけでは、到底足りないかもしれませんが、継続は力なりです。

伝えること

今日は大学院のセミナー、「表層セミナー」で発表でした。基礎講座と言って、博士課程の院生が自分の研究に関する分野の基礎的な知識の解説を行っているのです。今日は私の番で、アジアモンスーンと古気候学でよく使われている酸素同位体の解説を行いました…

サイエンスカフェ本郷

今日は、東大で行われた高校生向けのサイエンスカフェにTA(ティーチング アシスタント)として参加してきました。サイエンスカフェに参加するのは初めてでしたが、自分の研究を高校生、中学生に伝えることを通して、サイエンスを伝える事はこんなに面白いん…

お薦め教科書

最近薦められて、とても良い教科書だなと思った本の紹介をします。 我々過去の気候変動を扱う研究者には、欠かせない微化石(小さなプランクトンなどの化石)を扱った教科書です。 日本語で、これほど詳しく書かれているのは少なく、私の有孔虫の先生に聞い…