科学者の評価

6月17日のNature(イギリスの科学雑誌)に科学者の評価基準についての記事が載っていた。


ーーーー概要ーーーー


科学者の評価基準が今議論を呼んでいる。
Natureが聴き取り調査を行ったところ、科学者の大部分が現在の評価システムに不満を持っているという結果になった。

科学者の評価は、研究職の仕事を見つけるときや、研究機関内での研究促進のために使われる。
論文を何本書いたか、どれだけ影響力のある雑誌に論文が掲載されたか(Impact factor)、どれだけ引用されたか、がよく使われる定量的な評価方法であり、これに合わせて科学者の研究姿勢も変わってくるという。

(*impact factorは、1963年に開発されたが、個人の研究能力というよりもむしろ雑誌の人気度を評価している指数であるという見方が強い。)

しかし、科学者の仕事は論文を書く事以外にも、学生を育てること、学会を運営すること、研究費を取ってくる事、共同研究を立ち上げること、学術雑誌の編集をすることなどさまざまであり、これらのどれも定量的な評価基準はない。

よって、論文の数で評価される現状では、たとえ重要な研究であっても評価に含まれないことはしたくないと思っている科学者は大勢いる。

これは、大問題である。

一方で、科学者を雇用する側の研究機関は、論文数のみで評価を決める訳ではないという声も多い。例えば、他の専門家からの推薦状を重要視している機関も多い。


科学が発展するには科学者のランキングは効果的であると心理学者は言う。
よって、より確かな、定量的な評価方法が必要なのである。

今や、年々たくさんの評価方法が開発されつつある。
その一つであるh-indexは、論文数とその引用回数を含めた評価方法であり、有効だと言える。しかし、例えば物理よりも生物の方が引用回数が多いという分野間の違いもあるので、カテゴリーを分けることも必要だ。

また、インターネットベースのデータの引用数なども可能性のある評価方法だと考えられている。

いずれにせよ、新しい評価方法は、分かりやすくかつ透明性のあるものでなければならない。