ヨロンとセロン

今日は、東大で開催された科学コミュニケーション研究会に参加してきた。http://sc.sp.s.u-tokyo.ac.jp/scicomsociety/

マス・コミュニケーション論の京大の佐藤卓巳先生の"ヨロン"と"セロン"の話が印象深かった。

”世論”は「ヨロン」「セロン」の2つの読み方があるのはご存知でしょう。
よくニュースなどでも、ヨロンと言っているキャスターもいるし、セロンと読むキャスターもいます。

今日の話しでは、「ヨロン」と「セロン」の意味が戦前は違っていたというのです。

「ヨロン」の場合は、「輿論」の字を当てており、天下の公論を意味する言葉でした。一方、「セロン」の方は「世論」を当て、外道の論、悪論のことを意味したそう。
美濃部達吉に言わせると、輿論言語化して分析できるもの、世論は時流の雰囲気や言説化できない感情論という分け方ができます。

現在、輿論の「輿」の感じは常用漢字にありません。
つまり、「輿」の字はなくなったわけです。そして輿論に「世論」の字を当てることによって、輿論の世論化が起こりました。

現在のメディア社会はファスト政治です。長期的な戦略よりも即時的な報酬を頻発する政治になってきました。

セロン一辺倒になってしまうのではなく、セロンを批判するものとしてのヨロンを意識していくことが重要だと言います。

それは、長期的な視点にたった現実的な利益を求めるという政策に繋がります。

今度はセロンのヨロン化をしていかなければならない、それが科学コミュニケーションを行う上でも重要だという話でした。