2010-01-01から1年間の記事一覧

Science Window 6-7号

以前紹介した、「Science Window」という雑誌の6-7月号に私が書いた記事が載りました。「メートル法誕生物語」という題で、今私たちが使っている「メートル」という単位がどういう時代背景でできたのか、設立の裏にはどいう物語が隠されていたのかについて書…

今年の連合大会

今週は、1週間まるまる学会でした。 毎年この時期に行われる日本で一番大きい地球惑星系の学会「地球惑星科学連合大会」。 千葉の幕張メッセに毎日行き、研究成果や最先端研究のレクチャーを聴きました。学会は最先端の情報を得るという目的が第一ですが、…

中国旅行記-IGCP581への参加

中国から帰ってきました。 5月8−9日の2日間は、国際的な研究プロジェクトであるIGCP581のシンポジウムが南京で開催され、私も発表を行ってきました。中国、インド、イギリス、アイルランド、日本からアジア地域の古気候、古海洋を研究している研究者が集…

征服者はいつか去る、しかしこの偉業は永遠である part2

<前回からの続き>前回では、18世紀末のフランスで、科学が発展したのは社会状況や政治体制の変化と関係があったことを述べた。 歴史的に見ても、「国がいかに安定しているか」は自国の科学の発展に大いに関係していると言える。自由な発想で研究ができ、…

征服者はいつか去る、しかしこの偉業は永遠である

「征服者はいつか去る、しかしこの偉業は永遠である」 こう宣言したのは、あの有名なナポレオン•ボナパルトである。この文言は、フランスでメートルが作られたとき、1メートルの長さの基準となった大規模な子午線測量の成功を誉めたたえたものである。メー…

五感で感じる”理科”の楽しさ

先日の科学ドラマ大賞の授賞式で、数学者の秋山仁さんの講演を聴いた。秋山さんは,理科の教育において、自分の五感で体験することの大切さを説いておられた.秋山さんの主張は,「頭で覚えるのではなく、身体全体で覚えること」. これは,教育者としても有…

地球科学者が途上国でできること

火曜日に、諏訪 理(すわ まこと)さんのお話を聴いた。 諏訪さんは、アメリカで理学(地球科学)のPh.D(博士号)を取られたあと青年海外協力隊でご活躍されたという非常に面白い経歴の持ち主だ。青年海外協力隊として訪れたルワンダでの取り組みについてお…

医学イラストレーションという仕事

今日は、0to1(東大•科学コミュニケーショングループ)のランチセミナーで、とても興味深い話を聴いたのでご紹介します。 医療に関わるCGを制作している瀬尾拡史さんに話しを聴きました。瀬尾さんは現在、東大の医学部に所属されていますが、アメリカ、カナダ…

本の紹介

日本を代表するサイエンスライターである渡辺政隆さんの本を読み始めました。渡辺さんの書かれたものはとてもわかりやすく、難しいはずの科学の知識がすんなりと入ってくる、とても魅力的な文章です。 ご自身は生物学を専攻されていたということで、特に生物…

新学期が始まりました。

慌ただしくも、新学期が始まりました。 私も担当している表層セミナーの企画、運営などで4月上旬はバタバタになりそうです。 セミナーを盛り上げていけるように、そして個人個人の研究がもっと楽しくなっていくように、がんばっていく所存です。 どうぞ一年…

科学ドラマ大賞

土曜日に、(独)科学技術振興機構(JST)が主催している科学ドラマ大賞の授賞式に参加しました。http://www.kagakudrama.jp/今回は、第一回目の開催で、あまり知られてなかったかもしれませんが(お恥ずかしながら私も知りませんでした)、今後さらに盛り上…

トランスサイエンスを考える

今日は、気候変動に関する科学コミュニケーションのシンポジウムに参加しました。題して「トランスサイエンス研究会 科学者が提示するわかりやすさとその限界〜気候変動をめぐる問題〜 」トランスサイエンスという言葉自体、私には聞き慣れない言葉だったの…

洞窟の中で

古気候(過去の気候変動を解明する学問)の分野で、今最もホットなものの一つが石筍(せきじゅん:Stalagmite)です。石灰の岩が浸食されてできた鍾乳洞の中に、にょきにょき筍のように生えてくるのが石筍。日本には、有名な鍾乳洞がいくつもあり、私も鍾乳石…

若手研究者による合宿に参加して

3/20〜3/21まで湘南国際村センターで行われた「若手研究者の会」に参加してきました。 科学コミュニケーションに興味のある大学院生やポスドク、助教の人たちが研究分野の枠を超えて、一緒に、科学研究の意義やこれから科学コミュニケーションをどの…

Science Windowという雑誌

Science Windowという科学雑誌をご存知でしょうか。惹き付けるきれいな写真やイラスト、分かりやすく面白い文章で、読む人をぐっと科学の世界に引き込みます。 子供でも、文系の人でも読める、楽しくてわくわくする科学の雑誌です。特に好きなのが「人と大地…

鉄学 137億年の宇宙誌

「鉄学 137億年の宇宙誌」を読みました。レビュー: この本は、どこを読んでも鉄、鉄、鉄。「鉄」という一元素で、細胞のミクロな単位から宇宙というとてつもなく大きいスケールに至るまでを語ることができる。それだけ、鉄は宇宙の中で普遍的で安定な物…

フジツボ—魅惑の足まねき

「フジツボ—魅惑の足まねき」を読みました。 フジツボというとまず浮かぶのは、「気持ち悪い」とか「邪魔な生き物」といったマイナスのイメージ。しかし、そんなフジツボのマイナスイメージを払拭してくれるのがこの本です。「魅惑的な」生態をユーモラスに…

スミソニアン研究所 安原さんのセミナー

今日の表層セミナーでは、スミソニアン研究所で研究員をされている安原盛明さんに研究内容をお話して頂きました。安原さんは、アメリカのワシントンDCにあるスミソニアン研究所で、海の底にすんでいる有孔虫(*1)や貝形虫(*2)を使って、深海や沿岸の…