中国旅行記-IGCP581への参加

中国から帰ってきました。
5月8−9日の2日間は、国際的な研究プロジェクトであるIGCP581のシンポジウムが南京で開催され、私も発表を行ってきました。

中国、インド、イギリス、アイルランド、日本からアジア地域の古気候、古海洋を研究している研究者が集まり、一年間の研究成果報告を行います。

共同研究プロジェクトのテーマは、"Evolution of Asian River systems (河川システムの進化)"。

アジアの主要な河川である、長江、黄河ブラマプトラ川、レッドリバー、ガンジス、などの川が過去からどのようにできてきて、それが気候変動や、地球化学プロセスや、テクトニクスにどのように関わっていたのかを国際的に研究しています。


私の研究は、東シナ海の水温、塩分を過去2万年間で明らかにするということ。

今回のシンポジウムでは、東シナ海の海洋の記録と、中国南部の洞窟の記録を比べて過去の降水量変動を議論しました。

シンポジウムでは、私の発表に対し、色々な意見をいただくことができて、少しだけ視野が広がりました。


過去の水温、塩分を復元するのはとても難しい。
でもだからこそ、いろんな課題が残されていて、やりがいのある研究であるとも言えます。

また、重要なのは、過去の気候変動を復元するには、現在の気候のシステムを良くわかっていないといけません。
古気候、古海洋学は、現在の気候学、海洋学の基礎の上に成り立つ研究です。

時には検証が難しいこともありますが、地道にデータを集めたりモニタリングしたりすることも過去の気候変動を知る上ではとても大切です。


それに関係して、今回はチベットへの巡検にも参加しました。
チベット高原は、アジア地域の主要な川の起源域でもあります。
そこで、サンプルを採取して川の水や泥、砂などの化学組成を調べることで、過去の変動に応用できるのです。



それでは、今日はこの辺で。