地球科学者が途上国でできること

火曜日に、諏訪 理(すわ まこと)さんのお話を聴いた。
諏訪さんは、アメリカで理学(地球科学)のPh.D(博士号)を取られたあと青年海外協力隊でご活躍されたという非常に面白い経歴の持ち主だ。

青年海外協力隊として訪れたルワンダでの取り組みについてお話していただいたのだが、

『地球科学を学んで発展途上国や国際協力で貢献できることはたくさんある』と諏訪さんは語られた。

「途上国」とは、経済的な意味での「発展途上」なのだが、環境問題や公害問題についても途上国であるという。
このような途上国は、環境問題や公害問題に対する法整備もないまま、経済発展を経験していく。
問題は、環境を考える上での基礎的な知識が不足していることと、環境評価の土台となる水質検査などの基礎的なデータなどがそもそも存在しないことだ。このような基礎データは、日本みたいな開発国だと何十年にもわたる蓄積があり、きちんとモニタリングできている。


でも一方で、途上国はこれから産業や経済が発展していく。環境に対する知識やデータが不足している状況で発展を遂げたらどうなるのだろうか?
戦後の日本が歩んだ、産業の発展から公害に至ったような道を、これらの途上国は辿るかもしれないのだ。


諏訪さんは、ルワンダでの取り組みを例に挙げて、地球科学を学んだ研究者ができることを具体的に示してくださった。
例えば、大気汚染の指標となるようなオゾンの濃度を測定するとか、井戸水の水質検査などを現地の大学で行っていたそうだ。
大気中のオゾン濃度や水に含まれるカドミウム濃度の測定など、日本や欧米諸国だったら簡単にできてしまうようなものでも、ルワンダではこれまで行われたことはなかったので、そのデータはとても貴重にものになると言われた。


日本に住んでいると、人命が関わってくるような環境問題や公害問題というのはとうの昔に克服されたかのように感じてしまう。
でも、世界に目を向けると、まだまだ課題は山積みである。
環境がキーワードになる場面では、地球科学を学んだ者が国際協力に果たす役割は大きい。
考えればすぐ分かることだが、日頃考えない視点に気づかされた。

私も将来、人の役に立つようなことができれば良いな、と思う。