医学イラストレーションという仕事

今日は、0to1(東大•科学コミュニケーショングループ)のランチセミナーで、とても興味深い話を聴いたのでご紹介します。


医療に関わるCGを制作している瀬尾拡史さんに話しを聴きました。

瀬尾さんは現在、東大の医学部に所属されていますが、アメリカ、カナダで専門的に医療系のイラストレーションを学ばれて日本で法医学やアウトリーチ活動で医学に関するCGを制作しているそう。
東大に入ったのも、CGの材料になる医学を学ぶためで、学部でグラフィックデザインを学ぶためにダブルスクールもしていたというくらい、やりたいことにまっしぐらな人です。
この活動で、東大の総長賞も受賞されています。


とりあえず!!瀬尾さん制作のCGを見てください。

http://www.youtube.com/user/HirofumiSeo

きれいでとてもかっこいいですよね〜
これは、瀬尾さんが制作されたDGの一部ですが、医学を学ばれただけあって、人体の構造やスケールまできちんと再現してあります。

血管や筋肉がどこからでていて、どこにつながっていて、という人体構造をきちんと描くことで、医学分野だけではなく、裁判の資料として使うことができたりするそうです。


医療系イラストレーションが他のイラストレーションとは違うところは、
芸術性よりも正確性を重視することと言われていましたが、
見せていただいたイラスト、CGはとても美しく、高い芸術性も兼ね備えていました。

アメリカやカナダでは、有名な医学部にはイラストレーションの学科があり、医学の専門知識を学ぶと同時に、専門的に人体を描いたり、生物を描いたりすることを学べ、さらにはそこを卒業した人にはきちんと仕事がある、ということにとても驚きました。
日本には、専門性の高い科学や医学を専門とした芸術学部みたいなものは全く存在しませんね。

瀬尾さんは、日本では認知度がないにも等しいプロとしての医療系イラストレーションをアメリカ並みに普及させること(これはビジネスの土台を作っていくということも含まれます)、医療(または科学)に特化したイラストレーターを養成するような教育体制を作っていくことを目標としている、と言っておられました。

好きなことをやり抜くということ、またそれを趣味で終らせずに、戦略的に、そして医療や芸術の分野全体の発展にまで考慮して自分のやりたいことを展開していく、というところに、学ぶべきことがたくさんありました。
とても理想、意識の高い方で、大いに刺激を受け、話しを聴けてよかったなと思いました。