フジツボ—魅惑の足まねき

フジツボ—魅惑の足まねき」を読みました。


フジツボというとまず浮かぶのは、「気持ち悪い」とか「邪魔な生き物」といったマイナスのイメージ。しかし、そんなフジツボのマイナスイメージを払拭してくれるのがこの本です。「魅惑的な」生態をユーモラスに、愛情たっぷりに描いていてあります。

マイナーなものを扱っているものには、単なるマニアの自己満足に終っていて一般人には受け入れがたいと感じるものが少なくないですが、この本はとても興味深く、ページをめくるのが楽しい本でした。人間と同じように、フジツボの一生にもフジツボドラマがあります。人間味たっぷりのフジツボの描写は、フジツボを「F」という愛称で呼ぶ筆者ならではの視点で書かれており、オリジナリティに溢れています。確かに、フジツボには意志はありませんが、いろんな生物にくっついている固着生物ならではの他の生物との関わりは、生態系を構成する一員としての自覚を我々人間にも促しているようでした。



フジツボ—魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー 159) 倉谷うらら」