先日の南極コアの論文の結果は正しいか?

先週の日曜から金曜まで、地球惑星連合大会2011に参加してきました。

その大会が終わって同じ分野の研究者の方々と雑談していたときに、以前紹介した南極の氷床コアの論文(Laepple et al., 2011)が話題にでました。
Laepple et al.(2011, nature)では、積雪量を考慮した歳差運動の2万年周期と南極の氷床コア酸素同位体比がいい相関があるという結果でしたが、その結果に至るまでにはかなりの飛躍があるとのこと。
積雪量を考慮したカーブでは説明できる酸素同位体比の変動幅は氷期間氷期サイクルの4分の1程度であるにもかかわらず、Laepple et al.では、変動幅が現実に合うように根拠のない仮定をしているということでした。また、歳差運動の2万年周期でしか説明しておらず、彼らのモデルでは氷期間氷期サイクルの重要な10万年スケールの変動を説明できていないという欠点もあります。



10万年周期は他の2万年や4万年の日射量変動と比べてあまり変動幅が大きくないのですが、なぜ10万年が卓越するのか古気候、古海洋学の大きな謎です。実は、10万年周期の世界になったのは、今から約260万年前で、ちょうどその時期に北半球の大規模氷床の形成が始まったのではないかと考えられています。北半球の氷床のの変動が大きな役割を担っていたという見方が強いですが、そのメカニズムについてはまだまだ決着がついていないようです。