G. inflataのMg/Ca温度計

今日の論文紹介です。
有孔虫 G. inflataのマグネシウム/カルシウム比(Mg/Ca)を用いた古温度計の換算式がでました。


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G. inflataは、温度躍層に生息する有孔虫として、過去の温度躍層の変化をみるのに適した種だ。この論文では、南大西洋の38のコアトップのサンプルから酸素同位体比温度を用いてMg/Caの水温感算式を構築した。G. inflataは、硬い殻で覆われている(encrusted)個体と、覆われていない(non-encrusted)個体がある。測定の際は、20〜50個体をまとめて測定している。
個体差のために、Mgの殻への取り込み方も異なっていることが明らかとなった。硬い殻で覆われている方が、Mg/Caの値がより低かった。これは、硬い殻に取り込まれるMgが普通のカルサイトよりも少ないことを意味し、硬い殻に覆われている個体はどれくらいが硬い殻で覆われているのかが分からないので、使わない方がよいだろう。
また、同じ覆われていない個体でもサイズが大きくなるごとにMg/Caが低くなった。これは、有孔虫は成長にしたがい生息深度を変え、より大きい個体が深いところに生息することで説明できる。G. inflataは温度躍層の復元に適した種だが、固い殻に覆われていない種を使った方がよいことを示唆している。

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Groeneveld and Chiessi, 2011, Paleoceanography, 26, PA2203